博士課程・公衆衛生学・東京

統計的な根拠を、人口単位の政策に。

シリア出身の医師。東京で公衆衛生の博士課程に在籍中で、統計と医療データを扱う仕事をしています。

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プロフィール

シリアのホムス出身です。内戦のさなかにホムス大学で医学を学び、卒業後は文部科学省(MEXT)奨学金で東京へ。いまは聖路加国際大学の公衆衛生学博士課程に在籍して6年目です。

日々扱っているのは、全国レジストリ、レセプトデータ、連合型EHR(電子カルテ)ネットワークといったリアルワールド・ヘルスデータです。ある政策は本当に何かを変えたのか。試験が終わったあとも患者を追跡したとき、二つの治療はどう比較されるのか。格差はどこで最も鋭く現れるのか。そういう問いを立てるところから、毎日の仕事が始まります。

医学は、意思決定の単位で考えることを教えてくれました。統計学は、集団の単位で考える視点を与えてくれました。自分がやりたい仕事は、ちょうどその二つのあいだにあります。

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研究の焦点

たばこ対策

たばこ対策目標の予測と評価

190カ国を対象に喫煙率の推移を予測。日本の「健康日本21」目標における地域間格差については査読付き論文を発表しました。現在はたばこ広告への接触と加熱式たばこ使用の関連を調査中です。

脳卒中・脳血管疾患

全国規模の脳卒中研究

全国規模で見た脳卒中・脳血管疾患の格差研究が中心です。主に米国の全国入院患者サンプル(NIS)を用いて、機械的血栓除去術の受療機会における人種×性差や、過去10年間の脳卒中後痙縮データ(2026年AHAサイエンティフィック・ステートメントの基礎資料)を分析。並行して、NIH助成(U54)のもと、連合型リアルワールド・データで脳卒中治療薬の直接比較試験も進めています。

COVID-19とロングCOVID

COVID-19の死亡率とロングCOVID

日本の市町村レベルにおけるCOVID-19死亡率の地域差を分析。米アインシュタイン医科大学では、COVID-19の長期的な神経学的アウトカム(ロングCOVID)に関する研究にも参加しました。現在はさらに、パンデミック期に日本で生じた超過死亡をICD-10の死因別に分解し、COVID-19以外のどの疾患が超過死亡を押し上げたのかを検討中です。

医療アクセス

医療アクセスのストレステスト

米国メディケイド(低所得者医療保障)の人的基盤を、51行政区域・2018–2024年のT-MSISレセプトデータ25億件を用いてストレステスト中です。あわせて、紛争下の北西シリアにおける非感染性疾患(NCD)診療の構造的障壁についても研究を進めています。

/ 幕間・COVID-19超過死亡

日本の死者数は、ベースライン予測を大きく超えました。

2015–2023年の週次全死因死亡。季節性ポアソン・ベースライン(期待値;黒)と観測値(灰色)の比較。色付きの超過はパンデミックの6波に対応します。2023年1月(第8波)のピークは、統計が残る範囲で日本史上もっとも死亡が多かった週でした。

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Publications

/ 幕間・ベイズ疾病マッピング

日本のがん死亡は、地域によって姿を変えます。

47都道府県のタイルグリッド。各セルは(市町村×がん)組み合わせのうち、上昇(赤)/低下(青)を示す割合です。青森は上昇の比率が最も高く(55.3%)、大分は低下の比率が最も高い(29.2%)。東北と九州は対極に位置します。

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経験・学歴

研究・臨床

  1. Feb 2026 – Present
    Research Fellow (Remote)
    Rockefeller Neuroscience Institute, West Virginia University
    • 全国入院患者サンプル(NIS)を用いた脳卒中関連研究を5件主導。うち、機械的血栓除去術の受療機会における人種×性差、過去10年間の脳卒中後痙縮データ(2026年AHAサイエンティフィック・ステートメントの基礎資料)などを含む。
    • NIH助成(U54 GM104942)の比較効果研究。TriNetX連合型ネットワーク(患者1.2億人超)で、急性期脳卒中に対するtenecteplase対alteplase、cangrelor対eptifibatideを90日・180日アウトカムで比較。
    • 米国メディケイドのレセプトデータ25億件(T-MSIS、2018–2024年、51行政区域)を用いたストレステスト枠組みを構築。筆頭著者として論文を執筆中。
  2. Feb 2025 – Present
    Co-Investigator
    National Center for Global Health and Medicine, Tokyo
    • AMED「e-ASIA共同研究プログラム」(医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業・SICORP)の生物統計フレームワークを主導。気候変動とアジアにおける非結核性抗酸菌(NTM)症リスクとの関連を分析中。
    • 衛星データから得た環境曝露を次元削減で統合し、環境リスク指標を構築。都道府県を順序付きリスクカテゴリーに層別化し、重点的サーベイランスで活用。
  3. Feb 2025 – Present
    Research Assistant
    Hitotsubashi Institute for Advanced Study, Tokyo
    • 都道府県レベルの大腸がん検診受診率を、ロジット変換後のベイズ回帰で予測。2028年までに日本の60%目標を達成する都道府県は5%未満と推定。
    • 日本のパンデミック期(2020–2022年)における脳卒中の超過死亡を、対数線形ポアソンモデルとパラメトリック・ブートストラップで推定。
    • 紛争下の北西シリアにおける非感染性疾患(NCD)診療の構造的障壁を、地区固定効果を含む修正ポアソン回帰でモデル化。
  4. May 2023 – Present
    Research Fellow
    National Cancer Center, Tokyo
    • 市町村レベルのCOVID-19死亡率の地域差を、ベイズ階層空間モデルで分析。社会経済的剥奪とパンデミック期の超過死亡との関連を示した論文を発表しました。
    • 「健康日本21」のたばこ削減目標に向けた都道府県別の進捗を追跡する、ベイズ予測フレームワークを開発。成果は地域の政策立案者向けの提言に還元。
    • 日本のがん死亡格差の「北上」傾向(1995年と2023年の比較)を、リーブ・ワン・アウト年齢調整超過率で定量化しました。
  5. Apr 2024 – Sep 2024
    Research Consultant
    WHO FCTC Secretariat (via St. Luke's Int'l University)
    • 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(WHO FCTC)事務局と連携し、加盟約190カ国を対象に、様々な政策シナリオ下での喫煙率の推移をベイズ階層モデルで予測。成果物は条約モニタリングに活用されました。
  6. Jun 2023 – Jan 2026
    Research Volunteer (Remote)
    Albert Einstein College of Medicine, New York
    • OMOP共通データモデル上で患者コホートを構築。複数施設のEHRウェアハウスに対してSQLおよびRでクエリを実行し、観察的薬剤疫学研究に活用。
    • Fine–Gray競合リスクモデル、Cox比例ハザード、GEEで、長期神経学的アウトカム(パーキンソン病の進行、COVID-19後遺症)を評価。
  7. Jun 2023 – Jun 2024
    Research Assistant, Dept. of Cell Therapy
    National Center for Child Health and Development, Tokyo
    • 機械学習(特徴量エンジニアリング、モデル比較、交差検証)で、血友病関連のバイオインフォマティクス・データから病原性バリアントを優先順位付け。
  8. Mar 2021 – Aug 2021
    Internal Medicine Resident
    Tishreen University Hospital, Latakia, Syria
    • 一般内科の急性期・慢性期入院患者を担当。臨床評価、鑑別診断、多職種合同回診を経験。
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